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離婚調停ではどのようなことを聞かれるのか

FROM TOKUSHIMA MIRAI9分で読めます

離婚調停ではどのようなことを聞かれるのか

離婚調停の期日が近づくと、当日どんなことを聞かれるのかが気がかりになります。うまく答えられなかったらどうしよう、と不安に思われる方は少なくありません。

ただ、調停で聞かれることには、おおむね決まった型があります。何を聞かれるのかを先に知っておけば、当日の緊張はかなり軽くなります。

この記事では、申立人(調停を申し立てた側)と相手方(呼び出された側)に分けて、実際に聞かれる内容を具体的に挙げていきます。

聞かれることの全体像と、聞かれる順番

第1回の期日では、まず調停委員から「調停は話し合いの場です」という手続の説明があります。そのうえで、次のような順序で聞かれていくのが一般的です。

  1. これまでの経緯(結婚してから現在まで、何があったか)

  2. 現在の状況(同居か別居か、生活費、子どもの世話は誰がしているか)

  3. 離婚についての意向(したいのか、したくないのか)

  4. 子どもについての希望(親権、養育費、面会交流)

  5. お金についての希望(財産分与、慰謝料、年金分割)

1回あたり30分程度、申立人と相手方が交互に呼ばれます。第1回ですべてを詰めることはありません。まずは双方の言い分と希望を出し合う回、と考えておくとよいでしょう。

期日全体の流れについては徳島での離婚調停についてで説明しています。

申立人が聞かれること

離婚を求める理由

最初に聞かれるのがここです。不貞、暴力、生活費を入れない、性格の不一致など、何が理由で離婚を求めるのかを説明します。

大切なのは、いつ、どこで、何があったかを、時系列で話せるようにしておくことです。「ずっとつらかった」という言い方だけでは、調停委員が状況をつかめません。逆に、何年も前の細かい出来事を延々と話すと、時間が足りなくなります。

現在の生活状況

同居しているのか別居しているのか、別居ならいつからか。収入はどれくらいか。生活費は誰がどのように負担しているか。子どもの世話は誰がしているか。こうした事実関係を確認されます。

別居中で生活費を受け取れていない場合は、婚姻費用の分担についても申し立てているかどうかを聞かれることがあります。

離婚後の見通し

離婚した後、どこに住み、どうやって生活していくのか。仕事の状況や、実家の援助が受けられるかなども聞かれます。特に親権を求める場合、この点は重視されます。

相手方が聞かれること

離婚に応じるかどうか

まず、離婚する意思があるかどうかを確認されます。この段階で無理に結論を出す必要はありません。「条件次第で考えたい」「今は応じられない」といった答え方でも差し支えありません。

離婚を望まない場合は、その理由と、関係の修復についてどう考えているかを聞かれます。

申立人の主張についての認識

申立人が挙げた離婚の理由について、どう考えているかを聞かれます。事実と違う部分があれば、その点をはっきり伝えてください。

ここで注意していただきたいのは、調停は白黒をつける場ではないということです。証人尋問のような追及はされませんし、調停委員が証拠を調べて事実認定をするわけでもありません。感情的に反論するより、事実関係を淡々と整理して伝えるほうが伝わります。

今後の生活について

申立人と同じく、収入や住まい、子どもとの関わりについて聞かれます。

子どものことで聞かれること

未成年のお子さんがいる場合、次の3点が中心になります。

項目

聞かれること

親権

どちらが親権者になるか。これまで誰が主に世話をしてきたか。離婚後の監護の体制

養育費

いくらを、いつまで、どのように支払うか。双方の収入

面会交流

頻度、方法、受け渡しの場所。宿泊を伴うか

養育費の金額については、裁判所が示している算定表が目安として使われます。これは双方の収入、子どもの人数と年齢から標準的な金額を求めるもので、令和元年12月に改定された算定表が現在も用いられています。裁判所ウェブサイトで公開されており、調停でもこの表を基礎に話が進むのが通常です。

親権については、令和8年4月1日から、離婚後も父母双方を親権者とすることを選べる制度が始まっています。調停で取り決める内容にも関わりますので、共同親権・法定養育費の新制度もご確認ください。

なお、お子さんの意向が重要になる事案では、家庭裁判所調査官が同席したり、後日お子さんから話を聞いたりすることがあります。

お金のことで聞かれること

財産分与

婚姻中に夫婦で築いた財産をどう分けるかです。預貯金、不動産、保険、退職金、自動車、住宅ローンなどについて、何が、どこに、いくらあるのかを聞かれます。通帳の写しなど、資料の提出を求められることもあります。

期間の点で、注意していただきたい変更があります。財産分与を請求できる期間は、これまで離婚のときから2年でしたが、令和8年4月1日の改正法施行により5年に延長されました(改正民法768条2項ただし書)。ただし施行日より前に離婚した場合は、従来どおり2年とされています。ご自身がどちらにあたるかは、離婚した日を確認して個別に検討する必要があります。

慰謝料

不貞や暴力などがあった場合、慰謝料を請求するかどうか、金額をいくらと考えるかを聞かれます。請求する側は、その根拠となる事情を説明することになります。

年金分割

婚姻期間中の厚生年金の記録を分ける手続です。請求するかどうか、按分割合をどうするかを聞かれます。実務上は上限である0.5で合意することが多いですが、年金分割のための情報通知書が必要になりますので、あらかじめ年金事務所で取得しておくと話が早く進みます。

答えにくい質問をされたとき

その場で答えられない質問は必ず出てきます。そのときの対応をいくつか挙げます。

  • 分からないことは「分かりません」と答えてよい。相手方の財産の詳細など、知りようがないことを推測で答えると、後で訂正が必要になります

  • 即答を求められても、持ち帰ってよい。「次回までに考えます」で差し支えありません。いったん合意に達すれば、その条件が調停調書に記載されます。迷いがあるうちに返事をする必要はありません

  • 記憶があいまいなことは、あいまいなまま伝える。「たしか3年ほど前だったと思いますが、はっきりしません」で構いません

  • 言いたくないことがあれば、その旨を伝える。特にDVや性的な事柄について、相手方に伝わってほしくない内容があるときは、「これは相手には伝えないでください」とはっきり言ってください。調停委員は、伝える内容を調整してくれます

緊張して話せるか不安な方は、メモを持参して構いません。持ち込みは禁止されていません。書き方は離婚調停にメモ(カンペ)を持ち込んでいい?にまとめています。

聞かれる前に準備しておくとよいこと

  • 時系列表。結婚から現在までの出来事を、年月と一緒に書き出しておく

  • 収入の資料。源泉徴収票や確定申告書の写し。養育費と婚姻費用の話で必ず使います

  • 財産のリスト。預貯金、保険、不動産、ローン。金融機関名と支店名まで書いておく

  • 希望条件と、譲れない一線。すべてを通すことはできません。優先順位を決めておく

  • 質問したいこと。手続の進み方など、その場で聞けば答えてもらえます

呼出状を受け取った段階でできる準備については、離婚調停の呼出状が届いたら?対応と無視のリスクもご覧ください。当日の服装が気になる方は離婚調停に行くときの服装についてをどうぞ。

ひとりで対応できるか

弁護士を付けずに、ご本人だけで調停を進めることはできます。調停は話し合いの場ですので、法律の知識がなくても対応できる場面は多くあります。実際、ご本人だけで出席されている方は珍しくありません。

一方で、次のような場合には、弁護士に相談しておくことをお勧めします。

  • 親権について争いがある

  • 財産の種類が多い、または相手方が財産を明らかにしない

  • 相手方に弁護士が付いている

  • 相手方と直接やり取りすること自体が負担になっている

弁護士に依頼した場合、条件の相場や見通しを踏まえて準備できるため、相場から外れた条件のまま合意してしまうことを避けやすくなります。また、期日のやり取りを代理人が担うことで、精神的な負担が軽くなる場合もあります。

調停で決めた内容は調停調書に残り、後から簡単には変えられません。条件が固まる前の段階でご相談いただくことに意味があります。

よくあるご質問

Q. 聞かれたことに答えられないと、不利になりますか。

A. その場で答えられないこと自体が不利に働くわけではありません。持ち帰って次回に答えることもできます。

Q. 相手方が嘘をついている場合、その場で反論すべきですか。

A. 事実と違う点は伝えてください。ただし調停委員は証拠調べをしませんので、感情的に否定するより、時系列や資料で示せる部分を落ち着いて説明するほうが伝わります。

Q. 話した内容は、そのまま相手方に伝わりますか。

A. 調停委員が必要と判断した範囲で伝えられます。伝えてほしくない内容があるときは、その旨をはっきり伝えてください。

Q. 第1回で離婚が成立することはありますか。

A. 双方の希望が一致していれば、1回で成立することもあります。ただし条件の詰めが残っていれば、次回に持ち越されます。

Q. 何を聞かれるか、事前に教えてもらえますか。

A. 呼出状に同封される照会回答書に、裁判所が聞きたい事項が書かれています。まずはそこを確認してください。

まとめ

  • 聞かれる順番は、経緯 → 現在の状況 → 離婚の意向 → 子ども → お金がおおよその流れ

  • 申立人は離婚を求める理由を、相手方は離婚に応じるかどうかを、まず聞かれる

  • 養育費は裁判所の算定表(令和元年12月改定)が目安として使われる

  • 財産分与の請求期間は、令和8年4月1日の施行により2年から5年に延長された。施行日前の離婚は2年のまま

  • 分からないこと、即答できないことは、持ち帰ってよい

  • 伝えてほしくない内容は、その旨を調停委員に伝える

  • 時系列表、収入資料、財産リスト、優先順位の4つを用意しておくと落ち着いて臨める

調停は、話がうまい人が有利になる手続ではありません。準備をしてきた人が、自分の希望を過不足なく伝えられる手続です。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する法的助言ではありません。 同じように見える事案でも、事情によって結論は異なります。実際のご判断にあたっては、 具体的な事情を踏まえた法律相談をご利用ください。
※記事は2024年9月14日(最終更新 2026年8月23日)時点の法令・実務に基づいています。その後の改正により内容が異なる場合があります。

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