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離婚調停で会社を休むには?有給の理由と職場への伝え方

FROM TOKUSHIMA MIRAI9分で読めます

離婚調停で会社を休むには?有給の理由と職場への伝え方

離婚調停は、平日の日中に行われます。お勤めの方にとっては、まず「会社をどう休むか」が最初の関門になります。

有給休暇の理由欄に何と書けばよいのか。上司に尋ねられたら何と答えるのか。そもそも、離婚調停をしていることが勤務先に知られてしまわないか。ご相談の場でも、手続の中身より先にこうしたことを聞かれることがよくあります。

この記事では、会社との関係でよく問題になる点を整理してご説明します。

会社に「離婚調停」と伝える義務はありません

調停に出るために休むとき、勤務先に「離婚調停があります」と説明しなければならない決まりはありません。年次有給休暇をどう使うかは労働者の自由であり、使用者が立ち入る事柄ではないと考えられているためです。

会社には、休む日をずらしてもらう権利があります。年次有給休暇は労働者が請求した時季に与えなければならず、ただし、その時季に与えることが事業の正常な運営を妨げる場合には、他の時季に与えることができるとされています(労働基準法39条5項)。これは繁忙期などに日程を調整するための定めであって、休む理由が気に入らないから認めない、という使い方ができるものではありません。

有給休暇の理由は「私用」で足ります

申請書の理由欄は、「私用」または「所用」で足ります。上司から重ねて尋ねられたとしても、「私的な用事です」とお答えいただければ、それ以上説明する義務はありません。

理由欄を空欄にできない職場では

実際には、理由が書かれていないと処理が進まない職場もあります。その場合は、次のような書き方が考えられます。

  • 役所での手続があるため

  • 家庭の事情で、平日でなければ対応できない用件があるため

  • 家族の件で、日中に対応が必要なため

いずれも事実に反するものではありません。家庭裁判所での手続は、「家庭の事情」「平日の手続」という説明の範囲に収まります。詳しく説明しないことは、後ろめたいことでも不誠実なことでもありません。

勤務先に知られる場面は限られています

どこから伝わるのか分からないことが、不安のもとになっている場合が多いように思います。考えられる道筋は、次のとおりです。

裁判所からの書類は自宅に届きます

調停を申し立てると、相手方に呼出状が郵送され、申立人にも期日を知らせる書類が届きます。いずれも住民票上の住所、または申立書に記載した送達場所に郵送されるもので、勤務先に送られることはありません。

同居のご家族に見られたくない事情がある場合は、申立ての際に送達場所を届け出て、弁護士の事務所を送付先に指定することもできます。

給与の差押えは勤務先に知られます

例外はここです。婚姻費用や養育費が支払われず、相手方が給与の差押えに踏み切った場合には、裁判所から勤務先に差押命令が届きます。これは勤務先の知るところとなります。

もっとも、これは調停をしていることが原因ではなく、決まった金額が支払われていないことが原因です。調停や審判で定まった婚姻費用・養育費を支払っている限り、この場面は生じません。支払う側の方にとっては、支払いを止めることが、勤務先に知られる最も確実な原因になります。

社会保険の手続は、離婚が成立した後の話です

姓が変わる、配偶者を扶養から外すといった届出は、離婚が成立してから必要になるものです。調停をしている段階で生じるものではありません。

弁護士から勤務先に連絡することはありません

弁護士に依頼すると勤務先に何か連絡がいくのではないか、とご心配される方がいますが、そのようなことはありません。守秘義務がありますので、ご本人の同意なく勤務先へ連絡することはありません。

いちばん多いのは、ご自身から話される場合です

職場に伝わる経路として実際に多いのは、親しい同僚に打ち明けたところから広がる場合です。誰にも話さないことが、いちばん確実な備えになります。

期日は何時から始まり、どのくらいかかるのか

休みの計画を立てるには、時間の見当が要ります。目安は次のとおりです。

項目

目安

開始時刻

午前9時30分、または午後1時30分に指定されることが多い

1回あたりの所要時間

2時間から3時間程度

期日の間隔

おおよそ1か月に1回

回数と期間

回数に制限はなく、1回で終わることも、1年ほどかかることもある

1回あたりの時間が長くなるのは、申立人と相手方が交互に調停室へ呼ばれるため、待合室で待つ時間が長いからです。ご自身が話している時間より、待っている時間のほうが長いのが通常です。当日の流れは徳島での離婚調停についてにまとめています。

これに移動時間が加わります。県西部から徳島市の本庁へ出向く場合、往復だけで数時間かかることもあり、実際には1日休むことになる方もいらっしゃいます。

平日にどうしても休めないとき

理由を説明しなくてよいとしても、そもそも休みが取りにくいという方もいらっしゃいます。考えられる方法は次の4つです。

期日の時間帯について希望を伝える

半日で対応できれば負担は軽くなります。第1回の期日は裁判所が指定しますが、申立ての際や書記官との電話のときに「午後の期日を希望します」とお伝えしておくと、考慮されることがあります。必ず希望どおりになるわけではありませんが、伝えておく意味はあります。

期日の変更を申し出る

どうしても出られない日が指定された場合は、分かった時点で担当の書記官へご連絡ください。家事調停の期日変更は、比較的柔軟に調整されているのが実情です。ただし、直前の申出や、繰り返しの変更は、進行にも相手方の受け止めにも影響します。早めに、一度だけにとどめるのが原則とお考えください。

ウェブ会議で参加する

家事事件の手続はIT化が進んでおり、令和7年3月1日からは、ウェブ会議の方法によって離婚の調停を成立させることもできるようになりました。それ以前は、協議の期日にウェブ会議を使うことはできても、離婚を内容とする調停の成立まではできませんでした。なお、電話会議の方法では、離婚の調停を成立させることはできません。

裁判所のウェブサイトには操作マニュアルも掲載されています。ただし、利用できるかどうかは事件の内容や各庁の運用によって異なります。遠方にお住まいの場合や、仕事の都合で出頭が難しい場合は、申立ての際や書記官との連絡の際に、ウェブ会議を希望する旨をお伝えください。

ご自宅からの参加が難しいときに、代理人の事務所からウェブ会議に参加するという方法がとられることもあります。

弁護士に依頼する

弁護士に依頼すると、書面の作成や裁判所とのやり取りは代理人が行いますので、ご自身が動く場面は少なくなります。

やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができるとされています(家事事件手続法51条2項ただし書。同法258条1項により家事調停に準用されます)。もっとも、家事調停は当事者の意向を直接確かめる手続ですので、実務ではご本人の出席が原則で、弁護士がついていてもご本人が同席されるのが通常です。

とはいえ、事情によってはご本人の出頭を求められない回も出てきます。毎回半日休まなければならない、というわけではありません。

休めないからと欠席するのは避けてください

休みが取れないことを理由に欠席することは、おすすめできません。

呼出しを受けた事件の関係人が正当な理由なく出頭しないときは、5万円以下の過料に処するとされています(家事事件手続法51条3項。同法258条1項により家事調停に準用されます)。実際に過料が課される例は多くありませんが、定めとしては置かれています。

それ以上に問題になるのは、次の点です。

  • ご自身の言い分が伝わりません。調停委員は、出席された側の話しか聞くことができません

  • 手続に向き合っていないという印象を与えかねません。調停委員の受け止めは、その後の進め方にも影響します

  • 調停が不成立となり、訴訟に移ることがあります。訴訟になれば、休まなければならない日数はかえって増えます

出席できない事情があるときは、欠席するのではなく、事前に裁判所へご連絡ください。

よくあるご質問

有給が残っておらず、欠勤で休むしかないのですが

手続の上では問題ありません。ただし、収入が減ることは婚姻費用や養育費の算定にも関わってきます。有給の残日数やウェブ会議を使えるかどうかも含めて、先に見通しを立てておかれることをおすすめします。

相手方が私の勤務先に電話をしてきた場合はどうすればよいですか

放置すべきではありません。調停の場で裁判所に申し出て、やめるよう働きかけてもらうことができます。内容によっては、別途の対応を検討することになります。まずは日時・内容・受けた方を記録として残してください。

自営業やフリーランスの場合も同じですか

勤務先への説明という問題は生じませんが、その時間だけ収入が止まるという別の負担があります。この場合こそ、ウェブ会議の利用や代理人による対応で、拘束される時間を短くする意味が大きくなります。

夫婦とも同じ会社に勤めています

同じ日に二人とも休むことで周囲が気づく可能性がありますし、社内での接触をどう扱うかという問題も生じます。期日の入れ方も含めて、早い段階でご相談いただくことをおすすめします。

まとめ

  • 勤務先に「離婚調停」と伝える義務はありません。有給休暇の理由は「私用」で足ります

  • 裁判所からの書類は自宅に届きます。勤務先には届きません

  • 勤務先に知られる主な場面は、給与の差押えと、ご自身から話される場合の2つです

  • 期日は午前9時30分か午後1時30分からで、2時間から3時間程度、おおよそ1か月に1回のペースです

  • 休めないときは、時間帯の希望、期日の変更、ウェブ会議、弁護士への依頼という方法があります

  • 欠席は、過料の定めがあるほか、手続の上でも不利に働きます

離婚調停は、生活を立て直すための手続です。そのために仕事を失ったり、職場に居づらくなったりしては、本末が入れ替わってしまいます。仕事との両立は、進め方を工夫できる部分です。

当事務所では離婚・男女問題に関するご相談を承っています。離婚をお考えの場合は、事前にご予約のうえご来所いただく方を対象に、初回のご相談を無料でお受けしています。費用は離婚事件の弁護士費用のページにまとめています。

なお、ご相談自体をオンラインのビデオ相談で承ることもできます(調停期日のウェブ会議とは別のものです)。ご希望の場合はLINEからお問い合わせください。

皆さまからのご相談をお待ちしております。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する法的助言ではありません。 同じように見える事案でも、事情によって結論は異なります。実際のご判断にあたっては、 具体的な事情を踏まえた法律相談をご利用ください。
※記事は2026年8月26日時点の法令・実務に基づいています。その後の改正により内容が異なる場合があります。

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