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相続放棄は3か月以内?徳島家庭裁判所での手続と費用

FROM TOKUSHIMA MIRAI10分で読めます

相続放棄は3か月以内?徳島家庭裁判所での手続と費用

亡くなった方に借金があるかもしれない。しばらく連絡を取っていなかった親族の債権者から、突然請求書が届いた。ほかの相続人から遺産分割協議書にサインを求められているが、自分は財産をもらうつもりがない。

こうしたときに出てくるのが、相続放棄という手続です。名前はよく知られていますが、いつまでに、どこへ、何を出せばよいのか、そして何をすると放棄ができなくなるのかは、あまり知られていません。この記事では、徳島で相続放棄をお考えの方に向けて、期限の数え方、徳島家庭裁判所での手続、費用と必要書類、3か月を過ぎている場合の考え方までをご説明します。

1. 「いらない」と伝えるだけでは相続放棄になりません

まず、ここが最も誤解の多いところです。相続放棄は、家庭裁判所へ申述して行う手続です(民法938条)。ほかの相続人へ「自分はいらない」と伝えたり、そのように書いた書面に署名したりしても、法律上の相続放棄にはなりません。

実際にご相談が多いのが、「遺産は何も受け取らない」という内容の遺産分割協議書に署名したという場面です。この場合、相続財産を受け取らないことは相続人の間で決まりますが、亡くなった方の借金は、法定相続分に応じてそのまま引き継ぎます。債権者は、遺産分割協議の内容にかかわらず請求できるためです。借金を引き継がないためには、家庭裁判所での相続放棄が必要になります。

家庭裁判所が申述を受理すると、その相続については初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)。財産も債務も引き継ぎません。

次の順位の方が相続人になります

初めから相続人でなかったことになる結果、相続権は次の順位へ移ります。お子さんが全員放棄すれば亡くなった方の父母へ、父母もいなければ兄弟姉妹へ、という順です。ご自身が放棄したことで、しばらく連絡を取っていない親族が突然債権者から請求を受ける、ということが起こり得ます。あらかじめ次順位の方へお知らせしておくと、後のトラブルを避けやすくなります。

2. 期限は「知った時から3か月」。亡くなった日からとは限りません

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行う必要があります(民法915条1項)。この3か月を熟慮期間と呼び、この間に単純承認、限定承認、相続放棄のいずれにするかを決めることになります。

注意していただきたいのは、起算点が「亡くなった日」ではなく「知った時」だという点です。同居のご家族であれば亡くなった日と重なることが多いのですが、次のような場合には起算点が後ろにずれます。

  • 疎遠だった親族が亡くなったことを、しばらく経ってから知らされた場合

  • 先順位の相続人が放棄したことで、自分が相続人になったと知った場合

  • 相続人ご本人が未成年者または成年被後見人である場合(法定代理人が知った時から起算します。民法917条)

  • 相続人が承認も放棄もしないまま亡くなった場合(その方の相続人が知った時から起算します。民法916条)

財産や借金の調査が3か月では終わらないときは、家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てる方法があります(民法915条1項ただし書)。期間が過ぎてしまってから相談されるより、伸長を申し立てておくほうが選べる手が多く残ります。

3. 3か月を過ぎていても、確認できることがあります

「亡くなってからもう1年経つが、固定資産税の請求書が届いた」「知らない業者から督促状が来た」というご相談をよくいただきます。

3か月を過ぎている場合、相続放棄が難しくなるのは確かです。もっとも、熟慮期間は「相続の開始があったことを知った時」から数えます。亡くなったことは知っていても、借金の存在をまったく知らず、知らなかったことにやむを得ない事情があるといえる場合には、債務を知った時を起算点として申述が受理される場合があります。

ただし、これは事情によって判断が分かれるところで、受理されるとは限りません。申述書には、なぜ今まで知らなかったのか、いつ何をきっかけに知ったのかを、経過に沿って説明する必要があります。請求書や督促状は、届いた日が分かる形で保管しておいてください。封筒も残しておくと役に立つことがあります。

なお、申述が却下された場合には、即時抗告という不服申立ての方法が定められています(家事事件手続法201条9項3号)。気づいた時点からの時間が短いほど選択肢が残ります。お早めにご相談ください。

4. 相続放棄の前にしてはいけないこと

相続放棄を考えている段階で最も注意していただきたいのが、相続財産に手をつけないことです。

相続人が相続財産の全部または一部を処分すると、単純承認をしたものとみなされ、相続放棄ができなくなります(民法921条1号。これを法定単純承認といいます)。放棄をした後であっても、相続財産を隠したり勝手に使ったりした場合は同様です(同条3号)。

行為

取扱い

預貯金の解約・払戻し、生活費などへの使用

処分にあたると判断される可能性が高く、避けてください

不動産・自動車の売却、名義変更

同上

家財道具や遺品の処分、形見分け

価値のある物を処分すると処分にあたる場合があります

亡くなった方の借金を相続人が支払う

相続財産から支払うと処分にあたる場合があります

賃貸住宅の解約、部屋の片付け

残置物の扱いによっては処分にあたる場合があります。事前にご相談ください

建物の雨漏りの応急修理など、財産を保つ行為

保存行為にあたり、処分には含まれません(民法921条1号ただし書)

葬儀費用については、相続財産から支払ったことが直ちに処分にあたるとは限らず、金額や支出の内容によって判断が分かれます。迷われたときは、支払う前にご確認ください。いったん処分にあたる行為をしてしまうと、後から取り戻すことができません。

5. 徳島での申述先 どの裁判所に出すのか

相続放棄の申述先は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です(家事事件手続法201条1項)。相続人ご自身がお住まいの場所ではありません。

徳島家庭裁判所の管轄は次のとおりです(裁判所公表の申立書提出先一覧によります)。

申述先

亡くなった方の最後の住所地

徳島家庭裁判所(本庁)

徳島市、鳴門市、小松島市、阿波市、吉野川市、名東郡佐那河内村、勝浦郡勝浦町・上勝町、名西郡石井町・神山町、板野郡北島町・藍住町・板野町・上板町・松茂町

徳島家庭裁判所阿南支部

阿南市、那賀郡那賀町

徳島家庭裁判所牟岐出張所

海部郡牟岐町、海陽町、美波町

徳島家庭裁判所美馬支部

美馬市、美馬郡つるぎ町

徳島家庭裁判所池田出張所

三好市、三好郡東みよし町

当事務所のある吉野川市は本庁の管轄です。亡くなった方が徳島にお住まいで、相続人であるご自身は県外という場合でも、申述先は徳島の家庭裁判所になります。申述は郵送でも行えます。県外にお住まいの方については、オンラインでのビデオ相談も承っています。ご希望の場合はLINEからお問い合わせください。事務所の場所はアクセスのご案内をご覧ください。

6. 費用と必要書類

裁判所に納める費用

費目

金額

収入印紙

800円分(申述する方1人につき)

連絡用の郵便料

徳島家庭裁判所の場合、110円切手5枚(550円分)

戸籍・住民票などの取得費用

通数によります

収入印紙の額は全国共通ですが、郵便料は裁判所ごとに定めがあり、変更されることがあります。上記は裁判所が公表している徳島家庭裁判所本庁・管内支部の一覧によるものです。郵便切手のほか電子納付などの方法によることもできますので、実際に申述される際は申述先の裁判所の案内をご確認ください。

必要な書類

申述人がどの立場かによって、集める戸籍の範囲が変わります。共通して必要になるのは次の2点です。

  • 亡くなった方の住民票除票または戸籍附票

  • 申述する方の戸籍謄本

これに加えて、亡くなった方の死亡の記載のある戸籍謄本などが必要です。お子さんが放棄する場合は比較的少なくて済みますが、兄弟姉妹が放棄する場合には、亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍が必要になり、通数が多くなります。取り寄せに時間がかかることもあるため、3か月の期限との関係で早めに動く必要があります。申述書の書式と記載例は、裁判所のウェブサイトの「相続の放棄の申述」のページに掲載されています。

7. 相続放棄をしても残ることがあるもの

今住んでいる家や、預かっている物の管理

相続放棄をすると財産を引き継ぎませんが、放棄の時にその財産を現に占有していた場合には、次の相続人または相続財産の清算人へ引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存する義務があります(民法940条1項)。

亡くなった方の家に住み続けている、車や家財を預かっているといった場合がこれにあたります。逆に、遠方に住んでいて実家を占有していないのであれば、この義務を負う立場にはありません。以前の条文は管理を継続する義務をより広く定めていましたが、現在は「現に占有しているとき」に限られています。

受取人が指定された生命保険金など

受取人が指定されている生命保険金は、受取人固有の財産として扱われるのが一般的で、相続放棄をしても受け取れる場合があります。ただし、契約の内容や受取人の指定の仕方によって扱いが異なり、相続税の計算では別の考え方をします。個別にご確認ください。

債権者への対応

申述が受理されると、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届きます。債権者から請求を受けた場合は、家庭裁判所へ申請して相続放棄申述受理証明書の交付を受け、これを示すことで請求が止まるのが通常です。

8. よくあるご質問

生きているうちに相続放棄をしておくことはできますか

できません。相続放棄は相続が開始した後にする手続で、生前に「相続しない」と約束していても法律上の効力はありません。生前の対策としては、遺言など別の方法を検討することになります。

一度した相続放棄を取り消せますか

熟慮期間内であっても、相続放棄を撤回することはできません(民法919条1項)。だまされた場合など限られた事情による取消しの定めはありますが、期間の制限があります。放棄をするかどうかは、撤回できない前提でご判断ください。

相続人全員が放棄すると、財産はどうなりますか

相続人がいない状態になり、必要に応じて家庭裁判所が相続財産清算人を選任して清算の手続が進められます。不動産が残っている場合などは、この申立てを検討することになります。

相続放棄をすれば、相続登記の義務も負いませんか

相続登記の申請義務は、相続によって不動産の所有権を取得した方が負うものです。相続放棄をすると初めから相続人でなかったものとみなされますので(民法939条)、その不動産について申請義務を負う立場にはならないと考えられます。

自分で手続をするか、弁護士に依頼するかで迷っています

亡くなってから日が浅く、財産関係もはっきりしている場合は、書式が公開されていますのでご自身で申述することも十分可能です。一方、次のような場合は、弁護士にご依頼いただくことをご検討ください。

  • 3か月の期限を過ぎている、または過ぎているかどうかが判然としない

  • 借金があり、手続に漏れがないようにしたい。放棄後の債権者対応も任せたい

  • 相続人が多く、次順位の方への連絡も含めて整理したい

  • 相続財産に手をつけてよいか判断がつかない

  • 県外にお住まいで、戸籍集めから任せたい

当事務所の相続放棄の弁護士費用は、申述する方1人につき5万5,000円(税込)です。収入印紙、郵便費用、戸籍などの取得費用といった実費は別途必要になります。詳しくは相続の弁護士費用のページをご覧ください。

9. まとめ

  • 家庭裁判所への申述が必要で、ほかの相続人に「いらない」と伝えるだけでは借金を引き継ぎます

  • 期限は相続の開始を知った時から3か月。亡くなった日からとは限りません

  • 3か月を過ぎていても、債務を知った時を起算点として受理される場合があります

  • 預貯金の払戻しや遺品の処分は、相続放棄ができなくなる原因になります

  • 申述先は亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所。徳島市や吉野川市であれば本庁です

相続放棄は、期限のある手続です。期限を過ぎてしまってからでは、とれる方法が限られます。当事務所では相続に関するご相談を承っており、相続については、事前にご予約のうえご来所いただく方を対象に、初回のご相談を無料でお受けしています。費用は相続の弁護士費用のページにまとめています。

相続全般については徳島で相続の相談をされたい方へ、遺産分割の期限については遺産分割の10年ルールもあわせてご覧ください。

皆さまからのご相談をお待ちしております。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する法的助言ではありません。 同じように見える事案でも、事情によって結論は異なります。実際のご判断にあたっては、 具体的な事情を踏まえた法律相談をご利用ください。
※記事は2024年9月5日(最終更新 2026年8月25日)時点の法令・実務に基づいています。その後の改正により内容が異なる場合があります。

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